草津・南草津【理学療法士による整体とトレーニング】Jump(ジャンプ)の木村です!
今回は野球での投球肩で小円筋、棘下筋を傷める理由を記載していきたいと思います。
小円筋、棘下筋の役割
小円筋、棘下筋は肩関節に着いている小さな筋肉になります。一般的にはインナーマッスルや腱板と言われております。
小円筋(参考書籍:運動療法のための機能解剖学的触診技術より)
棘下筋(参考書籍:運動療法のための機能解剖学的触診技術より)
両方とも肩甲骨の裏面から上腕骨についております。役割は上腕骨を肩甲骨にくっつけるように(テコのように)安定させる役割です。なのでインナーマッスルが弱ってしまうと肩関節が不安定になり傷めやすくなります。
もう少し詳細を説明しますと肩関節を外旋(手のひらを体の外側に向けるように肩を捻る)させる役割があります。
これらの事を踏まえて投球動作を考えていきましょう!
投球動作での役割、負担
参考文献:投球傷害肩 こう診てこう治せ これが我々の切り口!:筒井廣明他
投球動作で棘下筋、小円筋が働く重要な局面は上図の第3期(加速期)と第4期(フォロースルー期)になります。
投球側の手(図では右手)が体の前に出る時期です。
この時に棘下筋と小円筋は右手が前方に抜けて飛んでいかないようにブレーキをかける役割です。
*すみません。イメージしやすいように大袈裟に説明しています。実際は手が抜けて飛んでいく事はありませんよね・・・
もう少しイメージしやすいように写真で説明します。
この写真は骨模型に小円筋と同じ場所にセラバンドを固定した写真です。次に下の写真を見てください。
肩を前方に挙げて内側に捻った写真になります。
小円筋の場所に固定したセラバンドが引っ張られているのが分かりますでしょうか?
このように小円筋、棘下筋は肩を前方に上げて内側に捻ると伸ばされてしまします。
投球動作では小円筋、棘下筋は伸ばされながらブレーキをかけなければならないので負担もかなり大きくなります。
*筋肉が伸ばされながら働くことを遠心性収縮と言います。
小円筋、棘下筋に負担をかける投げ方
「手投げ」
「手投げ」という言葉は良く耳にすると思います。
本来、投球動作は重心移動(前方への踏み出し)と下半身→骨盤→体幹→上半身の一連の回旋動作によって投げる事が良いとされています。
「手投げ」は重心移動や回旋動作を上手に行えず、手の力(腕力)を過度に使って投げてしまう事です。
そうする事で棘下筋、小円筋への負担がより一層、増えてしまいます。
「途中で手を止めている」
フォロースルー期(第4期)の途中で手を止めてしまう事になります。一概には言えませんが振り切ろうとしている手を無理やり途中で止めているのでブレーキの役割の小円筋、棘下筋には大きな負担がかかります。自転車に例えますと急ブレーキになります。早い速度で走っている自転車を急に止めようとすると強い力でブレーキをかけないと止まらないイメージです。
そもそも小円筋、棘下筋は小さな筋肉なので力自体も強くありませんので悲鳴を上げてしまいます。
*途中で止めるような投げ方をされている方で肩の痛みがない方もおられます。痛みがある方は一度、投げ方を考えても良いかもしれません。
投球で小円筋、棘下筋を傷めないようにするためには
投球動作の見直し
これまで説明させて頂いたように「手投げ」になっていないか「途中で手を止めていないか」など見直してみてください。
日常でのストレッチとインナーマッスルのトレーニング
日々、投球を行う事で肩周りの筋肉は疲労しますので、疲労が蓄積しないようにストレッチをして筋肉の疲労を軽減させることが大切です。また、使い続ける事で肩のインナーマッスルも弱くなってくる事も言われておりますので肩のインナーマッスルトレーニングも継続して行っておくことが重要です。
Jumpで出来る事
肩の痛みの状態をチェック
まず肩の状態をチェックします。どこが痛んでいるのか?筋力は?肩の可動域は?など検査を行い、肩の状態を把握します。
その状態によってトレーニング方法が変わってくるからです。炎症が起こっていたら無理をしてトレーニングをしても逆効果になってしまいます。
*状態によっては整形外科受診をお勧めする場合もあります。
身体の状態チェック・トレーニング
前項で投球動作の基本を書かせていただきましたが、
そもそも重心移動や下半身からの回旋運動が簡単に出来ないから肩を痛めてしまいます。
肩だけのストレッチやインナーマッスルトレーニングのみでは投球肩が改善しない方が多いです。
Jumpでは普段の姿勢の崩れや使い方、身体全体の筋力・柔軟性(特に体幹、股関節、肩甲骨周囲筋など)をチェックしトレーニングを行います。
例えば、体幹が弱くて胸が開いて投げてしまうとか、股関節が硬いから踏み込めないとか・・・・
ここの筋力が弱いのでこの動きが出来ない原因になっている・・・・
と言ったような事をチェックさせて頂き、それを解決するためのトレーニングを行っていきます。
フォームチェック
パーソナルトレーニングルームのトレーニングマシンに簡易的にネットを取り付けれるようにしました。
これで、簡易的ではありますが実際ボールを投げている投球動作をチェックさせて頂きます。以前はタオルを振ってもらってシャドーピッチングを行ってもらって投球動作を確認していたのですが実際にボールを持っている感覚と違うという意見を頂く事もあったので・・
*Jumpではフォームチェックを行い改善の為の提案をさせて頂きますが、あくまでスポーツ医学的にフォーム指導を行うのみです。フォームを変更される判断はご本人にお任せしております。
このように投球肩は肩だけのリハビリやトレーニングだけでなく身体全体の筋力や柔軟性、実際のフォームをチェックし改善していくことが大切ですね!